こんにちは、今日から連載でチベット医学の概要/入門書を私なりにまとめていきたいと思います。
まとめる図書はイェシェー・ドゥンデン著『チベット医学/身体のとらえ方と診断・治療』になります。ダライ・ラマ法王の元侍医によるチベット医学の基本書です。
たまに、なぜチベット医学が良いなと思ったのか・・などなど私の感想もはさんでいきます。
では早速!
チベット医学とは①
病とは何か
- チベット医学では、たとえ症状が現れていなくても、人間はみな「病んでいる」とみなす
- 病は身体のどこかに潜伏していると考えるので、どこからどこまでが病か定めることは困難
早速感想です笑・・・
人は基本病んでいる・・・病の原因をそもそも内包しているって・・
すごく良くないですか!?!!
最初にこの一文を見て、心の底からそうなよなって思えたんですよね
で、すごく楽になりました
病の起源
- 釈尊は「貪り」「怒り」といった八万四千の異なる煩悩があると説かれた
- これら煩悩から八万四千の病が生み出され
- それが千六百十六の、さらには四百四種の病にまとめられた
- 病は「主因」と主因を助ける「補助因」によって引き起こされる
- 「主因」にも「直接因」と「遠因」がある
- 病の「直接因」は「ルン(風)」「ティーパ(胆汁)」「ペーケン(粘液)」の3つ
★ルン、ティーパ、ペーケンは、ニューパ(アーユルヴェーダではドーシャ)と総称され、文字通りの意味は「過失」を表し、あらゆる病はこの三つが原因となって生じる
★ニューパを本書では「体液」と訳している・・・こちらはギリシャ医学からの用語で「血液」「粘液」「黄胆汁」「黒胆汁」の4つの体液の割合によって体質や気質が決まるとされるより馴染みある言葉なため
- 過去の心がまえや煩悩が病の源であり、こうした心のあり方が種々の病を引き起こす
- 煩悩は「カルマ(行為)」を引き起こし、カルマにより心のなかに潜在勢力(熏習/くんじゅう)が植え付けられる
- この潜在勢力が後になって実体化して病の形で現れる
- そのため、特定の病に、どんな「遠因」が関わったのかを決定するのは不可能
カルマと潜在意識の説明がここまで端的で分かりやすいものは他にはないと思います
私の理解では、潜在意識にある過去の思考や感情や体験が、今現在の自分自身を形作っている、それが良くも悪くも目の前で起きていることで、病気もそのひとつ
目の前で起きていることの中から病気を違うものとして捉えないのは本当に良いなと思う
- しかし、「因」の基本的実態とは・・・
- 「貪り」「怒り」「無知」の三つの煩悩であり・・・
- つきつめれば、三つの煩悩も「無明」から生じている
★無明とは存在の真のあり方や、一切の事象の本質を正しく認識できない心の状態
無明は貪りの心を生み出す
貪りの心は、怒り、慢心、嫉み、乱暴な言葉、智の働きを妨げる微細な無知などを生み出す
貪りの心により・・・42のルン病が起こる
嫉みのような怒りや慢心の心により・・・26のティーパ病が起こる
無知により・・・33のペーケン病が起こる
合わせて101の病が存在する
病気の四分類
4つの分類があり、1つに付き101の病気があり、合わせて404の病が存在する
1.過去世のカルマに起因する101の病・・・過去世の悪行に起因する。過去世での悪行が今世で熟し、病という形で現れた場合、非常に重い、致命的な病になりがちです。チベットでは、このたぐいの病に罹った人々は、しばしば俗世を捨てて修行生活に専念します。しかし、過去世で犯した重罪の「果」であるこの病を乗り越えられる人はわずかです。
2.今世のカルマに起因する101の病・・・医学的な治療だけではなく、人生前半における悪行を懺悔し、善行を行い、悪しきカルマの力を減じ、今後そのような悪行は行わない誓いを立てるなどの、修行も必要になる
3.鬼神による101の病・・・釈尊は「目に見えなくとも人に害を与える存在がある」と説いている。明確な理由がなく、痛みや様々な病に悩ませられる場合。外面的な治療ではなく、仏教的な手段で祟っている鬼神を折伏する必要がある
4.表面的な101の病・・生活と食生活の乱れからくるため、投薬や治療を行わなくても、規則正しい生活と、正しい食生活で治るもの
1の過去世のカルマに関することには、今の私には言葉はありません。
ただ、治療が不可能な病があることを知ることで、今現在なんとか健康な身体で生きていられるのなら、そのことに感謝し、今の人生を精一杯生きるのが良いのだと思わせてくれますね。
なぜなら、それが来世でも活きてくることになるようですし、何より身体の健康というかけがえのない宝物を持っているわけで。それさえあれば、目の前が嵐のようであろうと、自分でなんとかできる可能性は全然ある。
そして、2の今世前半の自分の行い、3の鬼神、4の表面的な病に向き合えば良いんだと思います。ちなみに4は表面的とされていますが、一部分は潜在意識下のことも含まれるのではと思います。つまり、結構なほどに深い。
根本医典『四部医典』
釈尊が説かれたとされる『四部医典/ギュー・シ』
最初の医典・・・『根本タントラ/ツァウェー・ギュー』医学の教えのあらまし
二番目の医典・・・『釈義タントラ/シェーペェー・ギュー』
人体形成のプロセス、解剖学、死の兆候、補助因(縁)が病気を引き起こすプロセス、特定の病の性格、ルン・ティーパ・ペーケンが正しく働いたときの機能、バランスを崩したとき発生する病、それら病を癒やすための薬について
また、健康を維持し病と闘うための、食べ物の量と質、控えるべき食べ物、季節ごとの生活態度、日常の生活習慣について
三番目は・・・『秘訣タントラ/メンガクキ・ギュー』
病気のタイプ、その原因と本質、治療法について
主な病を1つづつ取り上げ、その主因と補助因、症候と治療法
四番目・・・『末尾タントラ/チメー・ギュー』
尿診と脈診、チベット薬の作り方
慢性病
著者の体験によると、チベット医学はある種の癌に治癒効果があり、実際に治った人からの報告も多々ある
他にチベット医学による治療が有効な病は、肝炎、ある種の精神病、麻痺、腎臓結石、関節炎、幾つかの慢性病がある。
本の最初の段階で、チベット医学が有効な病気を上げている点からも信頼することができますよね。名医ほど自分の限界を知っていて、紹介することができると言いますし。
ただ、ここに書いてある以外でも概ね有効なものはたくさんあるんだと思いますが、あえてその程度では記述しないのでしょう。
釈尊は『秘訣タントラ』の中で、堕世が到来すると、人は様々な化学物質を開発し、その化学物質によって「18の悪性の(もしくは致命的な)病」と呼ばれる病が生じると説いた。
昔は多くなかったが、現在多発しているある種の癌などは、この「18の悪性の病」に当てはまる。
また、「18の悪性の病」をルン病、ティーパ病、ペーケン病で説明することもできる。
癌はまた、先程の病の四分類で説明することも可能。
- 表面的な病としての癌・・・適切な食事と生活態度で治癒する
- 今世のカルマに起因する癌・・・治療を施せば治るが、放置すると死に至る
- 鬼神の祟りによって生じた癌・・・極めて治療が難しい。お祓いの必要がある
- 過去世で犯した悪しきカルマに起因する癌・・・どんな医者もこのタイプの癌は治すことができない
また、「18の悪性の病」を発生した部位(五臓六腑、脈管、骨、肉、感覚器官など)によって分類する方法もあり。
さらに、表面の皮膚、内部の臓器、表面と内部の中間という分類もあり。
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