やはりここまで見てくるとなかなか難解ですが、何度か読むと分かってきます。
味から優勢な五大元素がわかり、今の自分の症状がどの体液が乱れているかのあたりが付けば、食べ物によって改善できるとという内容が出てきます。その辺は自分でも試せるので、分かってくると面白くなるかもですね。
- 不健康な身体の「遠因」は、はるかな過去より存在している「無明」であり、「近因」は「ルン(風)」「ティーパ(胆汁)」「ペーケン(粘液)」の3体液
- ルンは「貪り」、ティーパは「怒り」、ペーケン「無知」という煩悩を心理的な基礎としている
- 貪り、怒り、無知によって、ルン、ティーパ、ペーケンはそれぞれ増加する
- 3体液にまつわる病は、ルン病が42、ティーパ病が26、ペーケン病が33ある
- これら101の病は詳しく分類すると1066の病に、さらに細かくは84000の病に分類され、逆に言えば、84000の煩悩に対応する84000の病は、1616の病に集約され、さらに101の病に集約される
- そのいずれもが3体液のバランスの乱れに基づく
病のその他の分類
- 「今世の病」・・・今世における3体液の乱れ(病)、または不均衡に起因するもの
- 「過去世の果としての病」・・・過去世に犯した悪業が今世において病という形で結実したものなために、しばしば致命的で治療の効果がない。過去世において不善の行為をした人は、未来の人生において、その結果を病という形で受けやすい。
- その両方が入り交じったもの。過去世にまいたカルマの種と、今世における3体液の乱れが複合的な原因となっている。深刻な病でありながら、些細な原因しか見つからない。
不健康な身体の主因・3体液の乱れ
3体液のバランスがとれていると、病は潜伏状態にあり、健康は維持されるが、いったん3体液の乱れた生じると、病が現れる。
ティーパ病
- ティーパの乱れ(病)が生じると、7つの「身体の構成要素」が熱せられる。ティーパは身体の下部に宿っており、それが乱れると上半身に上昇、拡散していく。ティーパの本質は「熱」、「火」でおのずと上昇する性質を持っている。熱にまつわる病はすべてティーパの乱れから生じている。
ペーケン病
- ペーケン病が生じると、肉体の「熱」が減じ、消失する。ペーケンの本質は地と水であり、「重い」「きわめて冷たい」という性質。ペーケンは身体の上部に位置しているが、乱れると下部に降りてくる。すべての寒性病はペーケンの乱れに基づく。
ルン病
- ルン病は寒性でも熱性でもある。ルンはペーケンとティーパのうち優勢なものを増長させる役割がある。ペーケンの乱れが顕著なら、ルンは寒性病を生み出す働きをする。ティーパの乱れが顕著なら、ルンはティーパを乱す働きをして熱性病を生み出す。ルンは体内にあまねく存在している。
3つの補助因をそれぞれ見ていく
補助因とは、主因が「果」を生じることを可能にする要因のこと。
- 病を生み出し、増大させる補助因
- 集積、発生、鎮静の補助因
- 集積した病を実際に出現させる補助因
「病を生み出し、増大させる補助因」
- 「季節」・・暑い季節、寒い季節、雨季の3つに分けられる。
- 暑い季節が例年より寒かったり、逆に暑すぎた場合に、病を生み出す要因として働く。寒い季節、雨季にもいえる。
- 誤用とは、季節の特性にそぐわない生活態度をとることで、例えば夏期にあまりに暖かい衣服を着るのは、季節への誤った対応となる
- 「5つの感覚器官」
- 感覚器官を過剰に使いすぎたり、ほとんど使わなかったり、間違った使い方をしたなら、身体に病を生じさせる原因となる
- 例えば、心地よいものを見過ぎたり、聞きすぎたり、良い香りをかぎすぎた場合でも病の原因となる
- 醜悪なものや恐怖をそそるものを長く眺めていたり、不快な音を聞き続けたり、限度を超えた悪臭をかぎ続けると3体液のバランスに影響を与える
- 「生活態度」・・・身体、言葉、心の働き
- 考えすぎたり、しゃべりすぎたりすると、健康を害する
- 運動のし過ぎも病の原因となる
- 排泄を我慢しすぎたり、排便排尿時にきばりすぎることも病を発生させる「補助因」となる
「集積、発生、鎮静の補助因」
ルン、ティーパ、ペーケン3体液の「集積」「発生」「鎮静」は「原因」「本質」「季節」という観点から理解する。まずは体液の集積が起こり、次に病が発生する。しかしこれも、他の体液によって沈静化することができる。
★原因・ルン、ティーパ、ペーケン
- ルンと同じ性質をもったもの、お茶(「粗い」「軽い」という効力)や、豚肉(「軽い」「きわめて冷たい」)を摂取すると、身体にルンが集積される
- ここで「脂っこい」「暖かい」効力の食物を摂取すれば、集積されたルンがルン病となって現れるのを抑え鎮静する。
- トウガラシ(「熱い」「鋭い」)や、リキュール(「鋭い」「粗い」)、あるいは「脂っこい」食物はティーパが集積される。
- ここで「きわめて冷たい」効力の食物を摂取すれば、ティーパの集積が病へ進展するのを防ぐ・・・ティーパを過剰に集積させるような食物を摂取し続けると、ティーパ病が発生する
- 体液のバランスを整える食べ物を取ることによって病の発現を防ぐことができる
- ペーケンの本質と同じ「脂っこい」「きわめて冷たい」「重い」効力の食物を摂取すると、身体の中にペーケンが集積される・・・ジャガイモは「重い」、カリフラワーやキャベツは「きわめて冷たい」効力がある
- 太陽の熱が氷を溶かすように「熱」がペーケンの病を発生させるが、「粗い」「軽い」食物の摂取により病の発生を防ぐことができる
食物の味からどの効力が優勢かがわかる
五大元素と味 | |
地+水 | 甘い |
地+火 | すっぱい |
水+火 | 塩からい |
水+風 | 苦い |
火+風 | 辛い |
地+風 | 渋い |
例)ニンジンは甘い・・・地と水の元素が優勢
今度は優勢な五大元素から、食物の効力を判断することができる
食物、薬の中の五大元素 | 効力 | 作用 |
地 | 重い、安定している、鈍い、滑らか、脂っこい、乾いている | ルンを鎮める |
水 | 薄い、きわめて冷たい、重い、鈍い、滑らか、脂っこい、湿った | ティーパを鎮める |
火 | 熱い、鋭い、乾いている、粗い、軽い、脂っこい、揺らぎやすい | ペーケンを鎮める |
風 | 軽い、揺らぎやすい、冷たい、粗い、吸収性がある、乾いている | ティーパとペーケンを鎮める |
空 | 地水火風の本質を持った薬・食物に組まなく浸透ししている。地水火風は、空において生じ、増加するものだから。 | 空の本質を持った薬・3体液はすべてがからんだ病を鎮める |
3体液の乱れからの病
ティーパ病(火) | 身体の7つの構成要素が熱性される 身体の下部にあるため、乱れ(熱・火が上半身へ広がる | 熱性病 |
ペーケン病(地、水、重い、きわめて冷たい) | 肉体の熱が失われる ペーケンは身体の上部にあるが、乱れると冷たさ重さが下部へ降りてくる | 寒性病 |
ルン病 | ペーケンが乱れたら、ルンが寒性病を生み出すように働く ティーパが乱れたら、ルンがさらにティーパを乱す要因となり熱性病となる | 熱性病、寒性病の両方を増長する |
★「集積」「発生」「鎮静」の本質
「集積」の本質は、ルン、ティーパ、ペーケンが身体の本来の位置に集まることで、ここまでは正常なプロセス。
病の「発生」の本質は、「補助因」によってそれが異常なプロセスに変わること。
集積されたものが病となって発生したということは、集積された体液が身体の本来の位置を離れて、他の部分に広まったこと。
「鎮静」の本質は、3体液が本来の位置に戻り、性質にかたよりがなくなり、病がないこと。
★季節の性質と3体液の集積、発生、沈静化
五行の観点からは、冬には「水」と「土」が、春には「水」と「木」が、夏には「火」と「土」が、秋には「鉄(金)」と[土」が優勢。
チベット暦では、夏至は真夏となり、当時は真冬となる(西洋暦より一ヶ月半進める)。
◎ルン
- 初夏(5月)にルンが集積されるのは、初夏には「軽い」「粗い」という性質があり、ルンの性質と一致するため
- 初夏にルンが集積されても、夏の暑さがルンの「冷たさ」を抑えるので発生はせず潜伏したまま
- 晩秋(7月)になると、集積したルンが現れる・・・インドでは雨季が(日本では梅雨)涼しく、風が吹きやすいから。
- 涼しさは、集積されたルン(それ自体も冷えている)を活性化させ、病として発生する
- ルン本来の位置にとどまれず、他の流出口を求めた
- しかしルンが溢れ出ても、秋にはルン病の自然な沈静化が起こる
- 秋(雨季の終わり)は「暖かい」「脂っこい」性質があり、こうした特徴はルンを抑えるかコントロールする役目となる
- 「脂っこさ」は秋に顕著な特徴で、「軽い」「揺らぎやすい」というルンの性質を抑え込む
◎ティーパ
- 晩夏(雨季)は「脂っこい」という性質のためティーパが集積される
- しかし、「冷たい」という性質がティーパの熱に対抗し、ティーパ病の発生を抑える
- 秋(8月)になると、秋の性質である「脂っこさ」「暖かさ」がティーパ病の出現を促す
- 冬の間は「きわめて冷たい」という季節の性質のため、ティーバ病が沈静化する
◎ペーケン
- 晩冬(1月)にはペーケンが集積される
- この季節は「重い」「きわめて冷たい」「脂っこい」という性質があるため
- 「きわめて冷たい」ため、ペーケンは凍る
- 初春(2月)になると、太陽の熱によって「凍った」ペーケンが溶け、本来の部位から他の部位へ拡散して、ペーケン病が発生する
- しかし初夏の(5月)「熱い」「軽い」「粗い」声質によって、ペーケン病はおのずと鎮静する
もう一つの補助因「集積した病を実際に出現させる補助因」は次回です。
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